MOROCCO 2016

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モロッコ。MOROCCO。響きも見た目もなんかまるまるしてかわいらしい名前の国。かといってその名前からイメージできたのは、タジン鍋に日本女子に人気のバブーシュ、映画のワンシーンで観たなんか埃っぽい砂漠の街。

そんな国に今回行くことが決まったのは本っ当に適当で、心を動かされたのはスロベニアから来たゲストが言った「モロッコはどこで食べてもご飯おいしかったなぁ」の一言。おいしいご飯は旅においてとっても重要です。そこでちょろっと調べてみると、迷路の街やら青い町やら砂漠やら、なんか色々詰まってておもしろそう。では行きましょう。そんな感じ。

てなわけで行ってきたわけですが、名前のイメージからは(雑貨以外)全く違う、人も街も建物も自然もパンチの効いた国でございました。イスラム教の国に行くのは初めての私にとっては特に新鮮なことだらけ。一体何から書き始めればいいのか分からないんですが、何とかおっちらおっちらまとめながら買いてみたいと思います。

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その1.「迷路の街が難関かつおもしろすぎる」

モロッコではかなりの数の街にメディナと呼ばれる旧市街が残っています。周りをグルっと頑丈な石の壁で囲まれ、外敵が侵入しても容易に進めないようにする目的とかだけあって、確かに人を迷わすために作られたとしか思えない細道の数々。そんなメディナの中に、今と昔と変わらない生活をする人々がギッシリ。しかもこのメディナの多くが世界遺産に登録されているときた。田舎で育った私も昔は近所の細道でよく遊んだけど、ここで生まれたらかくれんぼや鬼ごっこが相当楽しいやろうな・・と思う迷路っぷり。そこにスークと言われる市場がずらりと並び、それも「野菜スーク」「お肉スーク」「服飾スーク」「靴スーク」などなどの看板が出てなくても一目で分かる分別ぶり。でも結構どこも置いてるものが似てるから、競争激しそうやな~と 余計な心配とかしてしまう。 お肉とか、鶏が生きたままカゴに入って売られてて、そのまま買って自分で屠殺してもよし、そのすぐ横でさばいてるのでお肉になったものを買ってもよし、てな具合で新鮮なことこの上なし。

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夕方頃になると地元の人でギュウギュウになってきて活気と色んな匂いが入り混じって何とも言えない空気感。この旧市街がこうして壊されず残ってて、新市街はその周りに別で造られてるってすごいと思う。建物も外から見るとボロボロですごい古そうなのに、中に入ると綺麗に改装されてたりしてギャップがすごい。日本も古い町並みをできるだけ保存できるところがもっと増えればもっと街に魅力がでるのに。と、近所でも古いお家が壊されてどんどん駐車場になってる土地を見てつくづく思う。

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迷路難関度TOP1&2は、やはり最大級といわれるフェズとマラケシュ(正直この二つの街以外は半日~1日あれば攻略可能)。フェズはメディナの外周を一周するだけでも15kmくらいあるんだとか。 ここで私が一番見たかったのは、「タンネリ」と言われるなめし皮職人のスーク。動物の皮を剥いで染色している作業場。日頃靴やかばんなどでお世話になっている皮がどのように作られているのかを知っておくべきだと思ったので。

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話には聞いていたものの、作業場近くになると独特の匂いがし始め、中に入ると強烈な匂いが。ヤギやヒツジたちの足だけが生生しく固めて置かれている側を通って中に入る。鼻をつまみたいけど一生懸命作業してる人に失礼だから必死に我慢してたらガイドにミントの葉を一掴み渡され、おかげで匂いは問題なく見学できることに。(ただ、匂いは動物から来るものかと思っていたら、染色につかう鳩の糞の匂いが強いんだとか。ちなみにその鳩の糞を集めるだけの仕事もあるらしい) 見学した日はたまたま金曜日でメディナ内はイスラム教にとって大事な曜日なため、午後から閉めるからそんなに種類はないんだ、ということで色は黄色のみ。黄色はサフランを使って染色するらしい。他の色も全て自然の色で、赤はお花のポピー、青色はインディゴなどなど。決していいとは言えない作業環境で、全身を使って染色している職人たち。そうして作られた革製品がオシャレできれいな店に並べて売られている国から来て見学している私たち外国人。この職人たちにこそ正当なお給料を上げて欲しいけど、彼らの取り分は一体どれほどなんだろう。食べ物と同じで普段当たり前に使っているものがどうやって作られているものなのか、特に革製品を愛用している人は一度ぜひ見ておくべき現場だと思う。

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その2. 「その迷路の街に現れるニセガイドが巧妙すぎる」

①のタンネリの部分で”ガイド”とさらっと買いてみたものの、基本バックパッカー旅の私たちはよほどの場所じゃない限りガイドは頼みません。ここメディナでわんさかいるのは、「ハスラー」と呼ばれる自称ガイド。 これがまた上手い。「ガイドしますよ~」て呼び込みするなら分かるけど、親しく、ものすごく感じよく話かけてきて、話しながら普通についてきて、気付いたら勝手に案内を始めてる。 または、歩いてると「It’s closed!/ そっち行き止まりだよ!」 と言われ、この迷路の街でそんなことを言われたら思わず「あ、そうなん?ありがとう」と言って素直に方向を変えて歩きはじめてしまう。そうするとゲームオーバー、彼らの勝ち。初めて出逢った時はこの「行き止まりだよ」法に捕まってしまったものの、すぐ「あ、これが話に聞いた・・」と気づく。でも自然に次から次へと案内するもんだから断る隙がない。でもって最終的に色々グルグル回って、まぁでもおもしろいところも見せてもらったしと思って別れる時に快くチップを渡そうとすると、人が変わったように「足りない。もっとくれ」という。 オイ!怒。 けど冷静に考えたら、スリやひったくりや命を狙って金銭を取られるような話はほとんど聞かないから、ある意味安全な国なんだろうなー とは思うんだけども。

でもだいたいお決まりのパターンが決まってるから、2、3回出くわしたらもう慣れて次からは無視して歩くことに徹するんだけど、そうするとメディナを出て何でもない場所で普通に挨拶して来てくれた人までうっかり無視して態度の悪い外国人になりかけて、イヤイヤこれではいかん。。て自己嫌悪に陥ったりしてしまったり。 2日目くらいからはゲーム感覚で、いかにニセガイドといい人を見分けるか、もしついてきはじめたら日本語(しかも方言全開の)で話まくって追い払う法を編み出したりして楽しんでみたものの、やっぱり散策するときは自分たちのペースで気ままにしたいもんです。ハイ。

③「だけどニセガイドにやられてモロッコを嫌いになっちゃダメ!普通の人と話そう!」

そこで他の人はどうなんだろーと思って検索してみたら、ニセガイドにやられてる経験談のブログとかが出てくる出てくる。だいたい出くわすのがみんな初めに行くマラケシュとかフェズ、スペインからの入り口タンジェなもんだから、1週間くらいの短期滞在の人は特にしょっぱなからやられて「もういや!モロッコ出る!」ていう気になる人も多いようです。無理もなし。 でもね、日本でもやっぱり悪い人や変な人はいるように、モロッコではそれが観光客を狙ってくるから第一印象になってしまうのが残念で仕方ないんだけど、それ以外の人たちは本当にいい人たち。日本人以上にシャイでおもてなし上手だったり。 私たちは一か月間で地元の普通の人と色々話せる機会があって、その人たちのおかげでモロッコ人のことを好きになれて本当によかった。

一度西海岸の街から4時間くらいの電車で移動した時、日曜日のたまたま混んでた時間だったようで空いてる席がなく立つことになった私たち。立ってることは問題なかったんだけど、冬でも結構暑くなるモロッコの日中に窓の開けれない車輛で空気がムンムンとしてて、1時間くらい経った頃マットがちょっと休憩しようとその場でしゃがみこんだ時。数分して、すぐ横の席に座っていた家族の高校生の息子さんが立ち上って「どうぞ座ってください」と! びっくりしてると、彼のお母さんがその横に座っていた10歳くらいの娘さんに席を詰めるように言い、2人掛けの席にその娘さんと私たち二人を並んで座らせてくれることに。

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小さい子供さんに我慢させて申し訳ないなーと思いつつもまだ残り3時間ある長旅、ありがたくそのまま座らせてもらってると、今度は高校生の男の子が勉強中の英語で話かけてくれて色々お話できたんだけど、その3時間の間、お母さんは家族の人数分ちょうど用意してきたお昼ご飯のサンドイッチを私たちに分けてくれて自分たちはその残りを分け合って食べたり、お手製のクッキーを丸ごと一袋くれたり。 うちの外国人ゲストがよく偶然出会う日本人にお世話になる話はよく聞くけど、実際に自分が会うとこんな感覚か~、と感動。なんというか、とても美しい家族でした。みんな目がキラキラしてて、純粋に外国人を歓迎してくれている様子が伝わってきて。他にも偶然大家族のお昼ご飯に招待されたりとか色々あったけど、この家族が一番心に残ってるなぁ。やっぱり人なんよね、どんなに素晴らしい景色を見ても最終的に思い出に一番残るのって。 私も日本に来てくれる旅人にそういう印象を残せる日本人でいたいものだとつくづく思う。

その3.「メディナの中にあるにリヤドが素晴らしすぎる」

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さて職業柄、どこに行ってもやっぱり一番気になるのはお宿。モロッコでは「中庭のある家」という意味のリヤドと呼ばれる、メディナの中にある昔ながらのお家に泊まれると聞いていたので各地のメディナではリヤドに泊まることに。 このリヤドが本っ当にどこも素晴らしかったです。外の迷路でやられまくってもリヤドに帰ればそこはまるで別世界。超リラックス空間。外からは全く中の様子が見えないものの、一歩中に入れば吹き抜けの解放感たっぷりの中庭に屋上、かつリヤドは個人経営のお宿がほとんどなので、部屋数はだいたい4,5部屋程度だから本当にのんびり寛げる。 しかも装飾品がとても細かくて素晴らしく、スタッフはどこもとてもフレンドリー。 その居心地のいい屋上からメディナを眺めると、思いつきで建てていったとかしか思えないほど隙間なくゴチャゴチャにひしめき合ったこの迷路の街がとてつもない存在に思えてしまう。

ちなみにリヤド以外の普通のお宿やモスク(イスラム教の教会)、カフェやメディナ内の通路とかもいちいち細かいところの装飾がすごく凝っててかわいくて、そういうのを作ってる職人さんもスークで見れるし装飾品も売ってるからもっと買いたかったけど持って帰れないし送料高すぎ。。 で、後ろ髪ひかれまくって帰ってきたのでした。

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その3.「青い町が存在する」

ただでさえ冗談みたいな迷路の街があちこちにあるのに、その中のひとつ、それこそ冗談で造ったんじゃないかと思われるくらい町中を青色で塗られた町があります。シェフシャウエン、通称シャウエン。北部の山間にある町で、遠くからでもそこだけ青い色が固まっているのが分かります。

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町の中、特にメディナの中を歩くとこのとおり。だんだん色彩感覚がおかしくなるような気がします。

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ちなみにこの町、この青い色のため今は観光地になっているものの、まだまだ田舎ののんびりした雰囲気がただよっていて、ニセガイドにやられることなくゆっくり散策を楽しめたところでございました。もう少し行ったら北海岸に出るためか、スペイン語が通じるし食べ物もフェズあたりとは違っていてアンチョビのタジンがあったり。

と、食べ物ネタが出たところで、街ネタだけでだいぶ長くなってしまったので一旦ここで終了することにします。次は食べ物&自然編でございます。