スペイン Camino de Santiago巡礼 2013

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スペインのCamino de Santiago巡礼を歩いて帰ってきてからあっという間に一週間経過。なんだかもうスペインにいたのがかなり前のような気もするけど、腕の日焼けの跡と確実についた足の筋肉の重みを感じるたびに、あぁまだ最近のことだったと思い出す今日この頃。

Camino de Santiagoの780kmを歩いた一ヶ月間、毎日朝早く起き、ひたすら歩き、食べ、寝て、出逢った人とたくさん話し、寝る。持ち物は最低限必要なものだけ入れたバックパック6kgのみ。
「歩く」という動きは人間が生まれて初めて歩き始めた時から毎日自然と行っている動き。それを毎日延々と続ける。
懸念事項といえば、2回目のコーヒー休憩の場所、どこがあるかな。とか、さすがに今日は歩きすぎて足が疲れてるな。マッサージしてあげよ。とか、そんなこと。いたってシンプル。自分の体と精神に直に向き合う日々。

今回スペインへ歩きに行くことになった理由は、まずは四国遍路を広めに行くこと。
そして、スペインはずっと前から行きたかった国だし、Camino de Santiagoもとても魅力的。四国遍路とは違う宗教観で培われた巡礼の道を歩くことで自分が何を感じるか、すごく興味があった。

実際歩いてみて思ったことは。
どうしても四国遍路を歩いた後だから色々比べてしまうんだけど、まずは当然どっちもそれぞれに特徴と歴史があって、どちらもそれぞれ素晴らしい。
歩く道自体は、お遍路の方が「修行」の意味が濃いからお寺も山の上にあったりして「苦行」を感じるのに対して、Caminoは断然歩きやすい。マット曰く、たくさんの人がSantiagoに行きやすい道を自然に選んで作られてきた道だからじゃないかと。そういわれると納得。元々の意味合いが違う。

歩いてる人はといえば、お遍路よりもかなり多くの人が歩いてるし、西洋人が圧倒的に多いから歩いてる道中も毎晩泊まる宿でも相当社交的。すぐに誰かと話が始まって、一緒に少し歩いたりご飯を食べたり飲んだり。
「自分と向き合って黙々と歩く」修行がしたければお遍路の方が向いてそうだし、「もっと社交的になりたい!」という人にはCaminoはある意味いい修行と訓練の場になるんじゃないだろーか。

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それにしても、楽しかった。スペインという国が持つ独特の空気や人々のおおらかさのおかげでもあるんだろうけど、ご飯やワインは安くておいしいし、景色は最高にキレイだし、道中の町はどこにいってもメルヘンの世界みたいにかわいいし、宿泊施設はすごく上手にできてるし。

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そうやって歩いてると、お遍路のときに持っていた「修行」の念よりも「ハイキング」の要素が強いことを、私だけじゃなく歩いてる他の人たちからも感じたり。

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そんな道中、初めてお接待小屋に出逢う。ボランティアの方たちがみんなにドリンクや果物などを振舞っていて心があったかーくなった。昔はCaminoにもお接待文化が浸透していたそうだけどそれが今はほとんどなくなってると聞いていたから余計に。

そぅそぅ、このお接待精神なんです。何より私たちが一番守りたいこと。地元の人たちがいつまでも続けたいなと思えるように、何よりも歩く人たち自身がこの土地を「歩かせてもらっている」感謝を忘れずに歩いてくれること。スペインも四国も、地元の人たちが道の手入れをしたり宿泊所の提供をしたりしてくれるおかげで安全に楽しく歩かせてもらってるんだから。それを忘れて、便利なことに慣れすぎてる人がとても多い気がします。

 

ともかく、目的地のSantiagoに着いたら、いったいどんな気持ちになるんかな。ていうのが自分でも想像がつかなかった。お遍路の時は、終わって嬉しいのと同時に寂しい気持ちや今までの思い出が走馬灯のように駆け巡ったんだけど。

そしていよいよ迎えたSantiago。

Santiagoへ向かう日の朝は、巡礼者同士が会ったら声をかけあう「Buen Camino!」ていうお決まりの挨拶が、
「もうすぐやね!」という意味に聞こえる、今までの疲れがどこかへ吹き飛んだかのようなみんなのイキイキとした笑顔。

路上で演奏していたバグパイプの音が荘厳さを増徴させてくれた大聖堂への入り口。

大聖堂の前で抱き合ったりして喜び合う巡礼者たち。

歩き通した証明書をもらえる事務所の前で偶然同じ時期に歩いて何度も出会った歩き仲間と再会して喜びあったり。

そんな様子を見ていると、ツアーで来て少しだけ歩いた人たちや、歩きじゃなくて車や自転車で来た人、観光客。。
手段は色々あれどもぅそんなことはどうでもいい気持ちになってきて、
「なんてHappyな空気に満ちた場所なんや。来る人がみんな幸せな気持ちになれる場所。それってすごいやん。」
て思うと、この場所に来れたこと、居れることに感謝して、さらに幸せな気持ちになった。
一ヶ月、二人して大きなケガも病気もなく歩き通せたことに感謝。時間切れでSantiagoの先の”World End”Finisterre行きはは
泣く泣く断念したけど、Santiagoまで来れてよかった。

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そして一番の目的の四国遍路を広めること」について。
これは色々発見があっておもしろかった。

まずは数字でご報告。

◎四国遍路について話をした外国人  計114人
<内訳>
アメリカ 20
スペイン 14
ドイツ  14
オーストラリア 13
フランス 8
アイルランド 7
スウェーデン 6
イタリア 6
イギリス 5
オランダ 4
韓国   3
スイス  3
ポーランド 3
ハンガリー 2
ブラジル 1
デンマーク 1
マルタ   1
ノルウェー 1
オーストリア 1
フィンランド 1

そして驚愕の事実。
<お遍路のことを聞いたことがあった人>
・・・たったの7人
(その内の一人は実際に歩いたことがあり)

スペインの巡礼の道を歩きに来るくらいだから、お遍路も聞いたことある人も多いだろう。。という予想を軽く裏切ってくれた結果。

でもさらに驚いたのは、ついでに聞いてみた
<今までに日本に来たことある人>
・・・なんとたったの6人!!!!!! 5%!!!!

例えば、オーストラリアからものっすごい遠いスペインに来てるのに、近い日本には来たことがない。。
「来日外国人が増えてきた」と一般的には報道されていても、その数の底上げはほとんどは中国や韓国、タイの人だったりで、西洋人に関してはこれが一つの現実。

でも、<Caminoを歩いてるような人は確実にお遍路にも興味を持つだろうという>予想どおり、私たちが話をするたびに興味深々な人たちばかり。中には数人、すでに「Caminoの次に行くとこを探してたんだ!決めた!」と具体的に質問してくれる人がいたり、私たちがいないところで自ら積極的に広めてくれる歩き仲間ができたり。その仲間を通じて、上の数字以上に広がっているのは間違いなし。

ちなみにもう一つ、上の結果に反する驚いた事実が。
道中で日本人にも何人か会ったんだけど、その全員の印象が「お遍路知ってる人、すごく多いよねー!!」ということ。
私たちの印象と違う?!!どういうこと?? と思って色々聞いて私の考える理由はというと、元々お遍路のことを知ってて興味のある人は、日本人を見かけると自分から質問してくる → 結果、「すごく多い」印象になる。

でも私たちが二人で一緒にいるとそんな人は一人もなく、自らお遍路のことを聞いてきたのは、2年前に歩いたことがあるというドイツ人の彼だけ。
だから他の日本人に会うまで私たちの印象は、「お遍路、まだまだ全然知られてないね」だった。(しかもマットのバックパックにつけて歩いてたお遍路シールを見たから声をかけてきてくれた)

・・一瞬モチベーション落としかけたけど、やっぱり私たちのしていることに無駄はなかったってことで。
ついでにいうと、その出会った日本人の皆様の中でお遍路を歩いたことのある人は・・・ 0!!!ナシ!!!
「だから、せっかくお遍路のこと聞いてくれてもアドバイスできなくて。。」

・・・ということで、出会った日本人の方たちにもしっかりアピールしてきました。

 

一ヶ月間で伝えることができたのが「たったの100人強」と思うか、それとも「100人も」と思うかは人それぞれ。
ただし、話した全員の顔を覚えてるし、彼らのほとんどは同じ時期に歩くことを共有できた仲間たち。

政府やメディアが作った映像や写真などをネットなどを通じて日本をアピールすると、もちろん不特定多数、何千万人という人に広めることができる。
でも、「スペインで会ったカップルが日本の巡礼の話してたから、行ってみようか」て来てくれる。そんなやり方もいいんじゃないか。
自己満足かもしれないけど、一人ひとりと話をすることでダイレクトに反応が返ってくるから、四国をもっといい場所にするために将来やりたいこともまた増えた。

この種まきが将来どんな花を咲かせるかは、私たちにも分からない。
時間もお金もかかるし、はっきりいって要領のいい方法じゃあないけど、これが今の私たちのやり方。なんたって楽しいしね。

次回は、フランスから今回歩き始めた町まで歩く道を狙ってます。ん?巡礼フェチかと思われてることもあるみたいだけど、そういうわけじゃあありません。てことに自分でも今回気づきました。笑。 歩くのはもちろん好きだけど、お遍路は元々四国を知るために始めてハマったことで、スペインは四国と関わりが多くて興味が出たこと。だからこの2つ以外の”巡礼”には行きません。どこかから新しく魅力的な話を聞かない限りは。笑

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