もう春の陽気でそろそろお花見のことでも書こうと思ってたのに、なんでしょうこの寒さ。毎年春にお遍路歩きに来ているアメリカ人のリピーターさんが今日着いたところですが、「いつもは石手川を渡った時に桜が咲いてるのに、今日は全くだった・・」と言ってるくらい、今年はなかなか暖かくならないですねぇ。。
ということで、いよいよ暖かくなる前に、下書きのまま3年くらい放置されていた温泉トピックをようやくUPし始めてみようと思います。汗。
まずはいわずとしれた道後温泉。なんですが、道後温泉の歴史や施設については私なんぞが語らなくとも道後温泉協会のHPや各ガイドブック等に事細かく書かれているので省きます。ここでは、道後地区にある宿泊施設を営む者であり一住民としての視点から書くことにします。
意外に時々「道後温泉ってどこがお勧めですか?」という質問を頂きます。どうやら、城崎や別府のようにいくつもエリア内に低料金の外湯があって、温泉めぐりができるというイメージを持って来られる方もいらっしゃるようです。
そこで簡単に説明させて頂くと、道後エリアにあるいわゆる外湯は、「道後温泉本館」と「椿の湯」の2か所だけです。昔は他にもいくつか外湯があって、村から湯けむりが出ているような場所だったらしいですが、今ではそれはありません。 この2つ以外に入ろうと思うと、道後温泉の引き湯をしている旅館やホテルさんの日帰り湯に入るということになりますが、それはどちらも1000~1500円くらいでそれぞれが露天風呂や泡風呂などいろんな温泉があるため、「温泉めぐりする」という感覚ではありません。それぞれどちらも素敵なので、一か所でがっつり楽しむつもりで行きましょう。晩御飯を食べたら温泉が無料で入れるところも多く、とてもお得です。ちなみに足湯を持っている旅館さんたちも多く、そちらは全て無料なので「足湯めぐり」を楽しむことができます。
さてでは話を外湯の「道後温泉本館」と「椿の湯」に戻します。源泉は同じですが、初めての方にはやっぱりぜひ道後温泉本館へ行っていただきましょう。建物がとてつもなくカッコイイのです。そりゃあ重要文化財に認定されたり千と千尋の舞台になったと言われたりするだけあります。が、ここで一つ注意事項です。こちらも時々、道後温泉本館のお風呂場が思った以上に小さかった、普通の銭湯だった、いろんなお風呂(それこそ泡風呂とか)があると思っていた等々、スーパー銭湯のようなイメージを持っていらっしゃる方も少なくありません。いえいえ、道後温泉は普通の銭湯だったんです。「これが日本最古の温泉ですよー。当時日本人はこうしてお風呂を楽しんでいたんですよー」と、本当なら博物館にでもなって綺麗に保存され、「お手を触れないでください」と貼られた通路から眺められるだけの保存建築物であってもおかしくないような建物なんです。
それが今も現役バリバリどころか朝は6時から夜11時の閉店までの年休たったの1日、364日フル稼働で、100歳を超えたおばあちゃんが20代の働き盛り以上の仕事をしてるんです。しかも木造。なので、博物館の中のお風呂に実際に浸かることができる、という感覚に価値があるんです。当然古いですが、掃除が隅々まで行き届いていていつも気持ちよく入らせてもらうことができます。
さてハード面のことばかり書いてきましたが、肝心のお湯はどうなのか? お湯はアルカリ性単純泉です。といって分かるのはよほど温泉に詳しい人だと思いますので、これも私なりの感じ方で説明させて頂くと、まず初めは匂いも色もないので本当に温泉か?と思いました。でもこれが肌にスルスルと浸透してくるような、とてもやわらかいお湯なんです。効果はお湯を出てから一番よく分かります。ポカポカした感じが持続してグッスリ眠れます。宿業をしていると布団の上げ下げなどで腰が慢性的に痛いというかダルいんですが、道後温泉で骨の髄まで温まったーー!てくらい浸かり、さらにお湯がジャバジャバ出てきてるところに腰をしばらく当ててると、お風呂から出た時本当に疲れが取れたー!というのを感じます。私は勝手にマジックウォーターと呼んでます。
ところで椿の湯ですが、今年9月に大リニューアルオープンされる予定。現在着々と工事が進んでいます。今の椿の湯は地元の銭湯、という雰囲気で地元のおばあちゃんたちの社交場な空気感がたっぷり。女性湯には浅めの湯船があって寝転んでのんびりできるので、個人的には椿の湯によく行ってます。あとは、「アンタまだ78?若いと思たわ!私はもう80やからウンタラカンタラ」なんていうレベルの高すぎるおばあちゃんたちのお話しを聞くのが密かな楽しみだったりします。笑
リニューアル後はこれまたずいぶんオシャレな感じになりそうですね。完成が楽しみでが、おばあちゃんたちには変わらず社交場を楽しんでいただきたいものです。時間のある方は、ぜひ完成前と後の両方を楽しみに来てくださいね!